教育コラムいいだばし幼児教室 奥野 孝子 室長 にインタビュー

奥野 孝子 室長
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ご家庭の教育方針に合わせた
学びが可能な私立小学校

幅広い選択肢がある私立小学校
子どもの数が減っていることもあって、近年は子どもの教育に力を入れるご家庭が増えています。そのため、私立小学校の受験もけっして特別なことではなくなってきました。
もちろん、公立小学校にも良い点はあります。授業料はかかりませんし、近所で友だちができるため集団生活に馴染みやすくなります。一方で、住まいを拠点に学校が決められるため、校風や教師を選ぶことができませんし、家庭環境や学力が多様な子どもが集まるため、学校として特色ある教育方針を打ち出しにくいといったデメリットもあります。
これに対して、私立小学校では、学校によってそれぞれ特色ある教育が行われています。「自由」を全面に打ち出している学校もあれば、「節度や礼節」を重んじる学校もあります。共学校もあれば、異性を気にせずに学校生活を送れる男子校や女子校もあります。エスカレーター式に大学までつながっている学校もあれば、中学受験を前提にしている学校もあります。豊かな自然環境のなかで学べる学校もあれば、都心に立地している学校もあります。こうした幅広い選択肢の中から、子どもに最適な環境を選ぶことができるということこそが、私立小学校を選択する最大のメリットといえるでしょう。
受験準備は2年前からが理想

私立小学校の受験を考える場合、最初に立ちはだかるのが「いつから準備をすればいいか」ということです。こうした問いには絶対的な正解はありませんが、理想をいえば、受験まで2年間あれば、余裕を持って対策ができると考えています。
小学校受験の時期は、学校や地域によって異なりますが、年長の9〜12月に行われることが多いため、ここから逆算して、年少の11月あたりから幼児教育に通うご家庭が増えてきます。もちろんこれはあくまで理想ですから、年中や年長になってしまったからといって諦める必要はありません。私どもでは、子どもの能力やご家庭での生活習慣になどに合わせた指導を行っておりますから、準備時期についてそれほど心配する必要はありません。
では、どんな準備をすればいいのでしょうか。試験内容に触れる前に、どの学校でも高く評価される子どもの共通点について、知っておくことが大切です。それは「話をしっかり聞くことができる」「自分の言葉で意見を言うことができる」の2点です。
当たり前のことのようですが、実は教育熱心なご家庭ほど、子どもがこうした能力を身につけるのを阻害してしまっている可能性があります。子どもが口ごもっていると先回りして答えてしまったり、ヒントを与えて答えを誘導したり…といった経験はありませんか。子どもが自発的に答えたり、ものごとに取り組んだりするまで「待つ」ということが、とても大切だということをお伝えしたいと思います。
相応の準備が必要な4種類の試験

小学校受験の試験内容は、でおおむね次の4種類になります。まずは「ペーパーテスト」です。知能を測定する目的で行われ、点数が出て合否判定に取り入れやすいため、8割程度の小学校で実施されています。
次に「行動観察」です。これは集団のなかでの子どもの行動を見るもので、集団の和を乱さない態度や、意見の合わない子どもへの対応などから、「入学後にどんな行動がとれるか」「集団生活に適応しているか」をチェックする試験です。
「表現(制作)」は、画用紙やハサミ、クレヨンなどを使って工作をしたり、絵を描いたりする試験です。表現力や創造力をチェックするのと同時に、手先の器用さが評価されることもあります。このほか、洋服をたたんだり、弁当を風呂敷に包んだりといった課題が出されることもあります。
最後は「面接」ですが、これには保護者のみ、親子、子どもだけなど、複数のパターンがあります。子どものしつけに関する質問や、子育てへの父親の関与の度合いなどが問われ、ご家庭の教育環境や生活環境全般をチェックするものです。
これらはいずれも事前に準備が必要な試験ですし、家族全員の協力が必要になります。
志望校選びを失敗しないために

志望校を選ぶうえで大切なポイントは、次の8つです。すなわち①国立か私立か、②通学時間、③共学か別学か、④付属大学の有無、⑤教育方針、⑥教育環境、⑦難易度、⑧フィーリングです。最後のフィーリングは、論理的に説明しづらいのですが、実際に訪問したり、学校の様子を子どもに話したときに、子どもの目が輝くようであれば、フィーリングが合ったということでいいでしょう。
受験準備が本格化するのは、志望校が決まってからですから、受験1年前くらいには志望校を絞り込んでおいたほうがいいでしょう。合同説明会や学校説明会に足を運ぶことが大切ですが、それでもなかなか決めかねるというのが実情でしょう。
そんな場合は、専門家の意見を参考にするのが早道です。私どもにはこれまで40年以上にわたる小学校受験指導の経験があります。どんな子どもがどんな学校に向いているか、どんなご家庭、どんな子どもなら合格できるかなどの知見も蓄積されています。小学校受験で迷ったら、こうした専門家や、経験豊富な幼児教室に相談してみてはいかがでしょう。